ボンディングペプチド(テトラペプチド-97※1 以下 TP-97)とピノプレックス※2との複合体がダメージを受けた毛髪ケラチンの結合を修復させることを明らかにしました。
毛髪の約85%を占めるタンパク質はヘアカラー、白髪染め、紫外線など外敵刺激によって損傷すると結合の強度が低下し、うねりや広がり切れ毛を引き起こします。このような髪の課題に対してアンプルールはスキンケアメーカーならではの視点で皮膚科学をヘアケアに応用。
スカルプケア分野で開発されていた新規ペプチドTP-97に着目。さらに水分量により開いたり閉じたりする性質をもつ”松ぼっくり”の特徴を活かし、髪のうるおいを閉じ込めキューティクルを再接着するピノプレックスを発見、独自に複合体にすることで損傷したケラチン結合の修復に応用する研究に取り組みました。
※1.ダメージ毛の内部にまで浸透し、髪の主成分「ケラチン」の強さを左右するシスチン結合(SS結合)を分子レベルで補修する新しいペプチド ※2.水分量により開いたり閉じたりする性質をもつ松ぼっくりから抽出したアップサイクルな生体模倣植物エキス
TP-97とピノプレックスが損傷した内部ケラチン(SS結合)を修復
髪内部のケラチン結合(SS結合)修復に関して、TP-97単体とピノプレックスとの複合体がどの程度関与しているか、赤外分光分析(FTIR法)による定量的な検証を行いました。
ブリーチ処理により”ダメージを与えた人毛”の髪ケラチン抽出物にTP-97単体と複合体を添加したところ、ケラチン(SH-)を減少させケラチン(S-S)を増加させました。
つまり、ダメージ毛に多いケラチン(SH-)を健康毛ケラチン(S-S)へと修復したことが分かりました。
損傷したキューティクルのケラチン部分に特異的に結合
TP-97を蛍光染料で赤く染色し、健康毛とダメージ毛に添加したところ、損傷したキューティクルのケラチン部分に特異的に強く結合することも分かりました。
毛髪内コルテックスのダメージ修復を可視化
ダメージ毛に多いケラチン(SH-)のみに反応する染色法を独自に応用・改良し、毛髪内コルテックスのダメージ修復を可視化。断面観察を行いました。
健康毛(未処理バージンヘア)は、ほとんど蛍光しない”が、”5分間ブリーチ処理した毛は強く蛍光”しました。ブリーチ毛にTP-97複合体を処理すると蛍光強度が弱まり、損傷部位が修復されていることが確認できました。
染色結果からは、TP-97複合体を塗布した髪において、SH-ケラチンの顕著な減少=SS結合の修復が視認され、わずか5分間の処理で髪内部のダメージが大幅に軽減されることが明確となりました。
TP-97を蛍光染料で赤く染色し、健康毛とダメージ毛に添加したところ、損傷したキューティクルのケラチン部分に特異的に強く結合することも分かりました。