伊熊 奈美さん
美容ジャーナリスト・エディター/
毛髪診断士指導講師
女性誌の編集・執筆歴は25年以上。ヘア分野を中心に、 日常に取り入れやすい美容法を発信。雑誌、テレビ、新聞、Webでの執筆・監修のほか、イベントや講演でも活躍。著書に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた~でもいきなりグレイヘアは無理!』(グラフィック社)がある。

きれいな髪は、
見えない頭皮でつくられる。
秋に増えた気がする抜け毛や、まとまりにくい髪。
髪だけをケアしても変化を感じにくいときは、その土台である頭皮にも目を向けてみませんか。
髪をかき分けて確認したいサインや、今日から見直せる洗い方のポイントを、美容ジャ—ナリストで毛髪診断士の伊熊奈美さんに教えていただきました。
夏の間のケアが
秋の髪・頭皮状態を左右する。
10月は、夏の終わりのダメージが気になる頃。
髪のパサつきや抜け毛が増えたように感じる方も多いと思います。何か理由があるのでしょうか。
伊熊さん
秋に髪の悩みが増えるという話はよく聞きますが、実際には個人差もあると思います。
夏に受けた紫外線ダメージや過剰な皮脂の残留で頭皮環境が悪化していることなどが関係していると考えられます。
「秋だから誰でもダメージが増える」というよりは、夏の間にどんなケアをしていたかが影響する、と考えたほうがわかりやすいかもしれません。
紫外線は春頃から強くなり、夏には汗や皮脂も増えます。汗が乾くときには水分が蒸散するので肌の内側では乾燥も過酷です。そうした負担が重なると、秋頃に頭皮や髪の変化を感じやすくなります。髪そのものをケアすることはもちろん大切ですが、その髪を生み出す頭皮状態を確かめてみましょう。美しい髪の一丁目一番地は、頭皮ケア。秋に頭皮ケアを見直すのは良いきっかけです。
頭皮の状態は均一じゃない!
髪をかき分けて
チェックしましょう。
頭皮も顔の肌と同じように、
紫外線や乾燥の影響を受けるのでしょうか。
伊熊さん
基本的には同じ皮膚です。頭皮も毛髪を通過した紫外線を浴びますが、自分では見えにくいため、赤みや乾燥に気づかない方が多いんです。
分け目に赤みがなければ、問題ないと思ってしまいそうです。
伊熊さん
実際には、頭皮の状態は均一ではありません。分け目に問題がないように見えても、地肌を見ると、部分的に赤みがあったり、細かなフケのような乾燥が見られたりすることがあります。見える場所だけで判断せず、時々髪をかき分けて、頭皮全体を確認してみましょう。
また、頭皮は顔に比べて毛穴が大きく、髪が密集しています。その分、皮脂腺も発達していて、皮脂や汚れがたまりやすく、環境やお手入れによっては炎症も起こりやすいのです。
特に夏は紫外線により酸化した皮脂がたまり、毛穴のつまりやニオイ、かゆみ、抜け毛の原因にもなります。洗髪やお手入れが不十分になると、秋にかけて影響を感じやすくなるでしょう。
アウトバスの効果を
引き出すのは「インバスケア」。
生え際は意外と洗えていない!
夏から秋はアウトバスの美容液だけでなく、シャンプーなどのインバスケアも大切ということですね。
伊熊さん
はい。アウトバスケアの効果を引き出すためにも、インバスケアがとても大切です。特に汗や皮脂が増える夏から秋は、洗浄を意識したほうがよいと思います。
頭皮の中でも、特に汚れやダメージがたまりやすい場所はありますか。
伊熊さん
生え際やえり足は、意外ときちんと洗えていない方が多いですね。
多くの方は、頭頂部や後頭部は意識して洗いますが、前髪の生え際や、こめかみ付近、えり足は意外と洗い残しやすすぎ残しが起きやすい場所です。
前髪はスタイリング剤で固める方も多く、頭皮に付着したまま残っていることもあります。特に生え際は意識して洗わないと、十分に落とせていないことがあります。
ゴシゴシこする摩擦と
マッサージは違う。
耳の上・側頭部も忘れずに
顔ではTゾーンの皮脂を意識しますが、頭皮にも皮脂が多い部分と少ない部分があるのでしょうか。
伊熊さん
はい、顔の場合は額と、鼻・口までの縦のライン(正中線)をTゾーンと言いますが、頭皮にもTゾーンがあります。額を囲む生え際と、頭頂から後頭部にかけての正中線で、このあたりは皮脂が出やすい場所です。下の洗い方では最後にその部分を念入りに洗います。
伊熊さん
髪の汚れは、スタイリング剤をたくさんつけていなければ、下のようにたっぷりのお湯と手ぐしで泡を通すことで十分落ちるんです。だからシャンプーのときは“髪を洗う”というよりも”頭皮を洗う”とイメージして、指の腹が頭皮のすべての場所にきちんと触れるように意識しましょう。毎日のくせで、意外と洗い残しは発生しやすいので、ときにはシャンプーブラシを取り入れるとまんべんなく洗えますよ。また、手でもブラシでも強くこすらないことがポイント。濡らす前にブラッシングしておくことも摩擦なく汚れを落とすコツです。
摩擦を避けることと、マッサージをすることは、矛盾しないのでしょうか。
伊熊さん
マッサージの目的は血めぐりをよくすることですが、シャンプー時にマッサージを意識するのは大賛成。確かに表面を強くこすれば摩擦になりますが、頭皮を頭蓋からはがすように頭部の筋肉自体をもみほぐすようにすれば、摩擦を起こさず洗浄とめぐりのケアが同時にできます。頭皮がぽかぽかするような感覚になればめぐりを高められているサイン。下を参考に洗い方を見直してみてください。

洗い残しなし!めぐりも高まる!
伊熊さん流・髪の洗い方

1
ブラッシングをし、
地肌をまんべんなく濡らしたらシャンプーを手にとり
お湯を加え少しだけ
泡立てる。

2
作った泡を頭部全体に
均等に置いていく。
髪をかき上げて頭頂部、
後頭部、 えり足の地肌に
つける。

3
生え際にも泡を置いたら、
両耳上の髪の内側から
手を入れ、泡に空気を
含ませるように洗い始める。

4
耳上からは頭頂へ、その後は後頭部の正中線へと
やさしくジグザグを描いて
洗う。
2~3回くり返して。

5
髪の根元に両手を入れて
頭頂で指を組み、毛先へと
指を滑らせながら
泡を行き渡らせる。

6
頭頂や生え際の脂っぽい部分は、指の腹で中央に
寄せるように洗ってから
十分にすすぐ。

次回Vol.2は「血流、食事、ホルモン。髪は全身の状態とつながっている」
身体の内側のケアの大切さについてお聞きしました。